
震災ニュースを見て思うこと。今一度知っておきたい「耐震基準」の話
ハウスコミット富里の店長である多賀直人です。
昨日は、熊本県で非常に大きな地震が発生しました。 テレビやインターネットのニュースでも、昨日から連日大きく報道されていますね。皆さまのご家族、ご親戚、ご友人、あるいはお知り合いの方々にお怪我や大きな被害はございおませんでしたでしょうか。
私どもが以前、フランチャイズに加盟していた頃にお世話になっていたスーパーバイザーの方が福岡にいらっしゃいまして、心配になってすぐにご連絡を入れてみました。熊本からは少し距離があるため「こちらは大丈夫です」とのお返事をいただき、まずは胸をなで下ろしたところですが、今回の地震で被災されたすべての皆様、そしてそのご親族や関係者の皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い日常の復帰と、これ以上被害が広がらないことを祈るばかりです。
\お気軽にご相談ください!/
大きな災害が起きるたびに、住まいの安全性について深く考えさせられます。 今回の地震報道を見ながら、ふと以前耳にしたニュースを思い出しました。それは、日本の住宅はこのような大きな地震が起きても建物自体が倒壊することが少ないという点について、ヨーロッパを中心とした海外のメディアで大きく取り上げられているという話題です。
なぜ日本の家は倒壊しにくいのか。その理由は、日本が世界でも有数の地震大国であり、だからこそ歴史的な教訓をバネにした非常に厳しい建築基準、いわゆる「耐震基準」が法律によって定められているからだと、海外でも高く評価されているそうです。
日頃からマイホームのご相談をいただく立場として、また、地域の皆様の大切な住まいを守るお仕事に携わる人間として、この「耐震基準」というものは切っても切り離せない、非常に重要なテーマです。そこで、本日は改めて、私たちが普段耳にする「耐震基準」とは一体何なのか、その基本的な仕組みについて少し分かりやすくご説明させていただこうと思います。
まずは、日本の建築における耐震基準の歴史を語る上で欠かせない、「旧耐震基準」と「新耐震基準」の違いについてお話しさせてください。
そもそも「耐震基準」とは、建物が地震の揺れに対してどれくらい耐えられるかを示す基準のことで、建築基準法によって定められています。この基準は、日本の建築史において大きなターニングポイントとなった出来事をきっかけに大きく改正されてきました。それが、1978年(昭和53年)に発生した「宮城県沖地震」です。
この宮城県沖地震では、多くの建物が大きな被害を受けました。特に、当時の古い基準で建てられた建物に深刻な被害が集中したことを受け、国は「これまでの基準では、大きな地震から人命を守りきれない」と判断し、1981年(昭和56年)6月1日に建築基準法の大きな改正を行いました。
この法改正を境にして、それ以前の基準を「旧耐震基準」、法改正以降の基準を「新耐震基準」と区別して呼んでいます。
では、この旧耐震と新耐震では、具体的に何がどのように変わったのでしょうか。
まず「旧耐震基準」についてです。 旧耐震基準は、1981年(昭和56年)5月31日までに建築確認(家を建てる前に自治体や確認検査機関に図面をチェックしてもらう手続き)を受けた建物に適用されていた基準です。この基準は、主に1950年(昭和25年)に制定された考え方がベースになっていました。
旧耐震基準の基本的な考え方は、一言で言うと「中規模の地震に対して、建物が倒壊せず、破損しても補修すれば住み続けられること」でした。 具体的には、震度5程度の中規模な地震が起きた際に、建物が倒れたり壊れたりしないように設計しなさい、というレベルのものです。
ここで少しハッと思われる方もいらっしゃるかもしれません。そう、「旧耐震基準」の想定には、実は「震度6や震度7といった、今回のような極めて大きな大地震」が明確に組み込まれていなかったのです。もちろん、当時の技術や時代の背景を考えれば仕方のない部分もありますが、現代の私たちの感覚からすると、少し心細く感じてしまうかもしれません。
実際、1995年(平成7年)に発生した阪神・淡路大震災の際、大きな被害を受けた木造住宅の多くが、この1981年以前の「旧耐震基準」によって建てられたものでした。この悲惨な現実が、耐震性の重要性を日本全国に深く刻み込むことになったのです。
一方で、1981年(昭和56年)6月1日以降に適用されるようになった「新耐震基準」は、その安全性が劇的に引き上げられました。
新耐震基準の最大の見直しポイントは、想定する地震の規模が一段と大きくなったことです。 新耐震基準では、次のような2段階の安全性が求められるようになりました。
震度5強程度の中規模の地震に対して、建物がほとんど損傷しないこと。
震度6強から震度7程度の大規模な地震に対して、建物が「倒壊・崩壊しない」こと。
お気づきでしょうか。
旧耐震基準では想定されていなかった「震度6強〜7クラスの極めて激しい揺れ」に対して、たとえ建物にひび割れなどのダメージが入ったり、場合によっては建て直しが必要になったりするほどの大きな補修が必要になったとしても、「建物そのものがペチャンコに潰れてしまい、中の人命が失われること(倒壊)を防ぐ」という強固な安全基準が、ここで初めて法律として義務付けられたのです。
この新耐震基準の導入によって、日本の住宅の耐震性能は飛躍的に向上しました。実際に、その後の大地震においても、新耐震基準に適合して建てられた住宅は、旧耐震の住宅に比べて圧倒的に倒壊率が低いというデータが数多く残されています。冒頭でお話しした、海外メディアが日本の住宅の強さを驚きをもって報じている理由も、まさにこの新耐震基準以降の確実な施工と建築基準の厳格さにあります。
では、ご自身が今お住まいの家、あるいはこれから購入を検討されている中古住宅が、「旧耐震」なのか「新耐震」なのかは、どうやって見分ければよいのでしょうか。
一番確実な判断基準は、先ほども触れた「建築確認日」です。 建物が完成した「築年月日」ではなく、着工する前に建築計画が法律に適合しているかチェックを受けた「建築確認済証の交付年月日」が、1981年(昭和56年)5月31日以前であれば「旧耐震」、同年6月1日以降であれば「新耐震」となります。
「うちは築年数でいうと昭和50年代後半だけど、どっちだろう……」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。例えば、1981年の夏や秋に完成したお家であっても、確認申請を下ろしたのが同年5月中であれば、法律上は旧耐震基準で建てられているというケースもゼロではありません。そのため、不動産の売買やリフォームの際には、必ず重要事項説明書や当時の建築確認通知書を確認することが大切になります。
そして、もう一つ皆様に知っておいていただきたいのが、新耐震基準の中でもさらに重要な分岐点があるということです。
それが、1995年の阪神・淡路大震災の教訓を経て、2000年(平成12年)にさらに大幅な法改正が行われた、いわゆる「2000年基準(新・新耐震基準)」です。
1981年の新耐震基準によって、「震度6強〜7の大地震で建物が倒壊しないこと」は義務付けられたのですが、実は当時の木造住宅においては、柱や梁といった骨組みの「接合部(木と木を繋ぎ合わせる部分)」の固定方法や、家を支える「床の強さ」、そして「壁のバランス(偏心率)」についての規定が、現代の基準から見るとまだ少し曖昧な部分がありました。
阪神・淡路大震災では、新耐震基準で建てられたはずの木造住宅の中でも、壁のバランスが偏っていたり、接合部がしっかり固定されていなかったりしたために、予想以上に大きな被害を受けてしまったケースが見つかりました。
この反省を活かして、2000年に法律がさらに厳しく改正されました。これが通称「2000年基準」です。 この2000年基準では、主に次の3つのポイントが義務化されました。
接合部の金物補強の明確化 柱の端部や筋交い(すじかい:柱と柱の間に入れる斜めの木材)の交点などに、どのような耐震金物を付けなければならないかが、具体的な計算によって詳細に指定されるようになりました。これにより、地震の激しい揺れで柱が抜け落ちてしまうリスクが大幅に軽減されました。
耐力壁のバランス配置(偏心率の計算) ただ単に「耐力壁の枚数が足りていればいい」というだけでなく、家全体のバランス良く配置されているかが厳しくチェックされるようになりました。一方向にだけ壁が偏っていると、地震の揺れで建物が「ねじれて」しまい、そこから一気に崩壊してしまうリスクがあります。このねじれを防ぐためのバランス計算が義務付けられたのです。
床の耐力の確認(合板等の厚さや留め付けの規定) 地震の力を屋根から壁、そして基礎へとスムーズに逃がすためには、実は「床」が頑丈であることが非常に重要です。床を支える合板の厚みや、釘の打ち方なども細かく規定され、床の面としての強度が格段に向上しました。
つまり、日本の木造住宅の耐震性という観点から見ると、大まかに分けて以下の3つの時代に分けることができます。
1981年(昭和56年)5月31日まで:旧耐震基準(大地震への明確な想定が不十分)
1981年(昭和56年)6月1日〜2000年(平成12年)3月:新耐震基準(震度6強〜7で倒壊しないことを義務化)
2000年(平成12年)4月以降:2000年基準(接合部の金物補強や床・壁のバランス配置をさらに強化)
このように見ていくと、日本の建築基準は、過去の大きな自然災害の犠牲と教訓を学びながら、常にアップデートを繰り返して進化してきたことがよく分かります。
見落としがちな「外まわり」の安全性:コンクリートブロック塀について
建物自体の耐震性はもちろん大切ですが、地震のニュースを見るたびに、もう一つ忘れてはならない重要な場所があることに気づかされます。それが、お庭や道路の境界にある「コンクリートブロック塀」です。
過去の大きな地震では、古いブロック塀が倒壊し、道路を通行していた方や敷地内にいらっしゃった方が巻き込まれてしまうという、痛ましい事故が幾度となく発生しています。建物が無事であっても、外構のブロック塀が倒れてしまっては、大切なご家族やご近所の方の安全を守ることはできません。
実は、このコンクリートブロック塀の施工や安全基準についても、建築基準法で細かくルールが定められています。 特にご留意いただきたい基準の一つが、「高さの制限」です。
建築基準法では、コンクリートブロック塀の高さは「地盤面から最大で2.2メートル以下」に抑えなければならないと定められています。さらに、安全性をより高めるための実務的な観点や、地震時のリスクを考慮すると、「高さ1.2メートルを超えるブロック塀」に関しては、より厳格な施工基準が求められます。
具体的には、高さ1.2メートルを超えるブロック塀を造る場合、次のような厳しい規定クリアしなければなりません。
塀の中に、一定の間隔(3.4メートル以下ごと)で「控壁(のぞみかべ・ひかえかべ)」という、塀を支えるための補助的な壁をしっかりと設置すること。
内部に十分な太さの鉄筋を縦横にしっかりと配筋し、コンクリートできちんと補強すること。
しかし、残念ながら中には、過去にご自身や前所有者の方がDIYで積んでしまったものや、何十年も前に基準に満たない形で施工されたままになっているブロック塀が、今でも街のあちこちに残されているのが現状です。「うちのブロック塀、高さはあるけれど、ちゃんと控壁が入っているかな……?」と、少しでも不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
\お気軽にご相談ください!/
今回、熊本での大きな地震ニュースに接し、改めて「住まいの安全性」や「命を守る場所としての家」について考えさせられました。マイホームは、ご家族の思い出を育む大切な場所であると同時に、どんな時でも一番安心できる「最後の砦」でなければなりません。
今お住まいのお家がいつ頃建てられたものなのか、もしご自身の家の耐震性能に少しでも不安や疑問がありましたら、どうぞこの機会にご家族で話し合ってみたり、私たちのような専門家にお気軽にお声がけいただいたりしてみてください。
耐震診断の実施や、必要に応じた耐震補強リフォームのご提案など、地域の皆様が安心安全に暮らせるためのサポートを、ハウスコミット富里ではいつでも全力で行わせていただきます。
季節の変わり目でもありますし、余震の不安が続く地域の方々におかれましては、どうぞお身体を第一に、十分にお気を付けてお過ごしください。


