令和6年度宅地建物取引士試験
10月20日、今日は令和6年度(2024年度)宅地建物取引士試験が行われる日です。不動産業に従事する人にとって必要不可欠な資格であり、その試験内容は必要不可欠な知識です。合格率は15%~17%と言われています。今回は、宅地建物取引士について詳しく解説いたします。
法律の専門家である士業となった宅地建物取引士
この宅地建物取引士ですが平成27年3月までは宅地建物取引主任者という資格名称でした。制度改正により弁護士、司法書士、行政書士などの法律の専門家として、宅地建物取引士と名称を改め士業資格となりました。これは、購入者の利益の保護と円滑な宅地建物の流通に資することで公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関する業務に従事する者との連携に務めなければならないとされています。宅地建物取引士と名称が変更になったと同時に、試験問題の難易度も上がっています。宅地建物取引士の知識及び能力の向上(第15条の3)の規定により、不動産取引に関するスペシャリストとしてより一層の消費者保護が求められ、知識や能力が必要となりました。
宅地建物取引士になると何ができる?
宅地建物取引士の資格は、不動産業には必要不可欠な資格です。宅地建物取引業法第35条に定める重要事項の説明および重要事項説明書への記名及び同37条に定める書面(不動産売買契約書等)への記名は、宅地建物取引士が行う必要があります。弁護士は弁理士、税理士、社会保険労務士、行政書士など他の士業登録ができるほか、司法書士の業務も行うことができますが、弁護士であっても宅地建物取引士の業務を行う事が出来ず、宅地建物取引士の独占業務となっています。宅地建物取引業法においては、たとえ弁護士であってもその分野の知識が充分とはいえないようで、弁護士や司法書士の資格を持っている方も自己の知識力UPのために宅地建物取引士の資格取得をする方もいます。(参考://ohyt-law.jp/residential-buildings/)
宅地建物取引士の独占業務である重要事項説明を行う際には、都道府県知事の登録を受けた宅地建物取引士が、都道府県知事が交付した宅地建物取引士証を提示して行う必要があります。
宅地建物取引士試験とは
宅地建物取引士試験(宅地建物取引士資格試験)は、都道府県知事が国土交通省の定めるところにより行うとされています。1988年度(昭和63年度)試験から国土交通大臣が指定した指定試験機関である一般財団法人不動産適正取引推進機構が全ての都道府県知事からの委任を受け試験を実施しています。
試験はマークシート方式、4肢択一式。宅建業法を中心に、民法、権利関係、法令上の制限、税についてなど出題範囲は広く、全50問出題されます。あらかじめ合格点が定められておらず、合格率は15%から17%の範囲になるよう合格点が決まります。他の士業資格試験と比較すると合格率は低くはありませんが、宅地建物取引士資格は一般的に難関試験と言われています。前述の通り、受験者は不動産業に従事する人はもちろん、弁護士、司法書士もしくは弁護士や司法書士を目指す受験生の登竜門として腕試し受験として活用されています。年々、問題レベルも上がり難関試験と言われる要因とも言えます。
試験年度 | 合格点 |
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2023年度(令和5年度) | 50問中36点 |
2022年度(令和4年度) | 50問中36点 |
2021年度(令和3年度) | 50問中34点 |
宅地建物取引士試験の合格点は概ね36点ですが、過去10年で見ると2015年度(平成27年度)試験では50問中31点。2020年度(令和2年度)が50問中38点となっています。宅地建物取引主任者から宅地建物取引士と名称変更になった2015年度(平成27年度)試験では50問中31点と合格点が低かったことは、試験の難易度が格段に上がったといえ、その翌年から受験生の学習内容と対策がされ、受験生のレベルが上がったと推測できます。また、複合問題の出題数が増え、選択肢の1つでも理解できてないと得点ができないというような試験問題となっています。
過去問を制する者が合格する?
宅地建物取引士試験の試験対策で最も有効なものが過去問であるということは確かですが、過去15年分の過去問をノーミスで答えられるよう自分を追い込んだとしても、50問中40点ほどしか得点を取ることができません。過去と同一の問題が出る事が無いので、いままで勉強して得た知識から全ての問題を自力で答えを出す必要があります。宅地建物取引士試験の受験者の平均勉強時間は一般的に300時間と言われ、宅地建物取引士試験を一発合格するためには勉強時間は500時間必要とも言われています。個々の能力によるところもあるので、何時間勉強したら合格できるか?というラインはありません。
いざ!出陣!!
不動産業に従事している上で必須不可欠な宅地建物取引士試験は年に1回しか行われていません。2024年度(令和6年度)宅地建物取引士資格試験は本日、10月20日13時から実施されます。受験生の皆さんのご検討をお祈りします。